自律神経と音楽:バイノーラルビートでリラックスする方法と、研究でわかっていること
自律神経を整える音楽を探す人へ。研究で確かめられているのは不安の軽減です。手術前の試験では、バイノーラルビートを聞いた人の不安が26.3%下がりました。
- 大切な前提: 音楽やバイノーラルビートが自律神経を「整える」と確かめた研究はありません。研究で示されているのは、短い時間の不安や緊張がやわらぐことです。
- いちばん明確な結果: 2005年の日帰り手術前の試験では、不安の点数がバイノーラルビートありで26.3%、同じ音源のビートなしで11.1%、何もなしで3.8%下がりました。
- 周波数: リラックス向けのセッションは、休息と結びつくシータ(4〜8 Hz)かアルファ(8〜12 Hz)がよく使われます。2022年の163人の試験では4〜7 Hzが使われました。
- 聞く長さ: 15〜30分から始めるのがおすすめです。2018年のメタ分析では、長く聞くほど効果が大きい傾向がありました。
- ヘッドホンが必要: バイノーラルビートは、左右の耳が別々の音を聞いたときにだけ生まれます。
自律神経を整える音楽は本当にありますか?
「自律神経を整える音楽」として科学的に確かめられたものは、今のところありません。一方で、バイノーラルビートを使った音で、その場の不安や緊張がやわらぐことは、小さな試験で何度か示されています。この記事では、わかっていることとわかっていないことを分けてお伝えします。
自律神経は、心拍や呼吸、消化など、意識しなくても動いている体の働きを調整する神経です。活動モードの交感神経と、休息モードの副交感神経の2つがあります。音で自律神経を直接切り替えられるとは言えませんが、気持ちを休息モードに向けるきっかけとして音を使うことはできます。
バイノーラルビートとは何ですか?
バイノーラルビートは、左右の耳に少しだけ違う高さの音を聞かせたときに、脳の中で生まれるゆっくりした揺れです。左に200 Hz、右に206 Hzを流すと、6 Hzのやわらかな脈を感じます。ゆっくりした脈が、心のペースを落とすきっかけになるという考え方です。くわしくはバイノーラルビートとはをご覧ください。
不安や緊張について、研究で何がわかっていますか?
結果は前向きですが、研究の規模は小さめです。知っておきたいのは次の3つです。
- 手術の前。 2005年のランダム化試験では、日帰り手術の患者さんに、バイノーラルビート入りの音源、同じ音源のビートなし、何もなしのいずれかを聞いてもらいました。不安の点数はそれぞれ26.3%、11.1%、3.8%下がりました。
- 抗不安薬を飲んでいる人。 2022年のランダム化試験では163人が1回のセッションで、シータのビート(4〜7 Hz)、リラックスできる音楽、その両方、ピンクノイズのどれかを聞きました。不安が中くらいの人では、音楽とビートの組み合わせで不安な考えがいちばん減りました。不安が強い人では、4つの差ははっきりしませんでした。
- 全体を見ると。 不安、記憶、注意、痛みに関する22件の研究をまとめた2018年のメタ分析では、全体として中くらいの効果(g = 0.45)が見られました。
なお、これらの研究が測ったのは主にアンケートによる不安の点数で、自律神経の働きそのものではありません。
リラックスしたいときは何Hzが良いですか?
リラックスや不安向けのセッションでは、休息と結びつくシータかアルファがよく使われます。2022年の試験ではシータの4〜7 Hzが使われました。
| 帯域 | 範囲 | 結びつく状態 |
|---|---|---|
| ベータ | 12〜30 Hz | 活動中、頭が忙しい |
| アルファ | 8〜12 Hz | ゆったりしつつ目は覚めている |
| シータ | 4〜8 Hz | 深い休息、眠りの入り口 |
| デルタ | 0.5〜4 Hz | 深い眠り |
気持ちが張りつめているときに、いきなりゆっくりした音を聞くと、合わないと感じることがあります。今の状態に近いベータやアルファから始めて、少しずつシータへ下がるセッションのほうが自然です。アルファ波とシータ波の記事もあわせてどうぞ。
どれくらいの時間、どう聞けば良いですか?
まずは15〜30分から始めましょう。2018年のメタ分析では、長めに聞くほど効果が大きく、緊張する作業の最中だけでなく前に聞いたほうが良い傾向がありました。
かんたんな手順です。
- ヘッドホンかイヤホンをつけます。スピーカーでは2つの音が空気中で混ざり、ビートが消えてしまいます。
- 15〜30分、じゃまの入らない場所で座るか横になります。
- 音量は、かろうじて聞こえるくらいの小ささにします。
- ゆっくり呼吸し、注意を音に預けます。
ShimmrのShift「緊張 → ゆるみ」は、この流れに沿って15分でベータからシータへ下がります。頭がざわつく日には「ざわつき → 静けさ」がベータからアルファへ。ガイド付きのJourneysでは、体の重さ、呼吸、音へと順に意識を向けていきます。声は小さくすることも、消すこともできます。
注意したいこと、医師に相談したほうが良いときは?
脈打つような音がかえって気になり、落ち着かなくなる人もいます。2022年の試験でも、不安が強い人ではビートが音楽やピンクノイズより効いたとは言えませんでした。合わないときは音量を下げる、周波数を変える、音楽や雨音を重ねるなどを試し、それでも合わなければやめてください。くわしくはバイノーラルビートの悪影響をご覧ください。
運転中や、注意が必要な作業中には聞かないでください。てんかんのある人は、先に医師に相談してください。不安や体の不調が何週間も続く、仕事や睡眠、人間関係に影響している、パニック発作がある、といった場合は、医師に相談しましょう。治療やカウンセリングは、どんな音よりもずっと強い根拠があります。バイノーラルビートは、その横で15分の休息をつくるための、手軽な道具のひとつです。
よくある質問
自律神経を整える音楽は本当にありますか?
音楽が自律神経そのものを整えると確かめた研究はありません。ただ、バイノーラルビートを含む音で、その場の不安や緊張がやわらぐことは、小さな試験で示されています。
リラックスしたいときは何Hzが良いですか?
シータ(4〜8 Hz)かアルファ(8〜12 Hz)がよく使われます。2022年の163人の試験では4〜7 Hzが使われました。アルファやベータから始めてシータへ下がるセッションは、無理なく入れます。
どれくらいの時間聞けば良いですか?
まずは静かな場所で15〜30分です。2018年のメタ分析では、長めに聞くこと、そして緊張する作業の最中だけでなく前に聞くことで、効果が大きくなる傾向がありました。
バイノーラルビートで逆に落ち着かなくなることはありますか?
脈打つような音が気になって、かえって落ち着かない人もいます。そのときは音量を下げる、周波数を変える、音楽や雨音を重ねるなどを試し、それでも合わなければやめてください。
寝る前やストレス解消に聞いても良いですか?
はい。リスクの低い、短い休憩の方法として使えます。研究で測られているのは主に不安ですが、同じゆっくりした周波数は、一日の終わりに気持ちを切り替えるためによく使われています。
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医療上の助言ではありません。バイノーラルビートは不眠症やその他の疾患の治療法ではありません。